小さないのちのドア

みなさん「赤ちゃんポスト」ってご存知ですか?
詳しくは知らないけど、ニュースなどでなんとなく聞いたことがある、という方が多いのではないでしょうか。
赤ちゃんポストとは、色々な事情で子育てができない親が、匿名で病院などに安全に保護をしてもらう為の施設やシステムのことを指します。
赤ちゃんポストはドイツ発祥のもので、望まない子どもを授かった女性が追いつめられて子どもの命を奪ったり、置き去りにして死なせたりする事を避けるという目的で作られました。実際には、産まれたばかりの新生児だけでなく、乳児や幼児が預けられるケースも多くあります。
日本に設置されている赤ちゃんポストは、熊本県の慈恵病院にある「こうのとりゆりかご」1つのみで、2007年5月から赤ちゃん(新生児)の受け入れを始めました。
赤ちゃんポストの開設から10年。
実際に預けられた件数は125件。(2007.5~2016.3)
病院に寄せられる妊娠相談件数は、10年前はわずか501件/年だったのに、今では約7,000件/年に上るといいます。
安易に「赤ちゃんポストに預ければいいや」といった考えの方が増えてはいけませんが、小さいながらも尊い命を救うことができるのであれば、それはとても重要で必要な施設と考えるべきではないでしょうか。

そして今年の9月、新たに誕生したのが兵庫県にある「小さないのちのドア」という施設です。
慈恵病院と理念は同じですが、赤ちゃんポストと大きく異なる点は、赤ちゃんを置き去ることが出来ないという点です。
ポストの先進国であるドイツでは、赤ちゃんを置き去りにするポストタイプと、母親が子供を預けるべく担当者のもとへ直接相談に訪れるドアタイプの両方を併設している施設があるようです。「どんな理由であれ、子供を捨てる親なんだから、ほとんどがポストに預けて立ち去るんだろう」と思われる方も少なくないでしょう。
ですが、実際には子供を抱きかかえてドアを訪れる女性がほとんどだそうです。
ポストにあずけて立ち去ろうと施設を訪れたとしても、いざその時になると自分が産んだ子供を簡単に見捨てることなどできないという本能がそうさせるのでしょう。

神戸のマナ助産院に併設されている「小さないのちのドア」は、まさにその対面型の施設であり、育てられないと追い詰められている女性とその子のいのちを、24時間いつでも迎えられるような体制がとられています。
ドアの向こうでは助産師が待っており、保険証や診察を受けるお金がなくても、妊婦健診や相談に応じ、女性と赤ちゃんにとって一番いい道を一緒に考えてくれます。

赤ちゃんを、やむを得ない事情などで手放してしまう女性を責めるのは簡単なことだと思います。ですが、そうではなく、母親と赤ちゃんの両方を助ける方法を一緒に考えていける社会であることがなにより大切なのではないでしょうか。

女性と胎児の尊厳が守られ、産んだ後に赤ちゃんを託すこと(特別養子縁組)に対してもう少し寛容な社会になり、最も小さないのちである胎児や赤ちゃんの命が簡単に失われるのではなく、とにかく最も大切にされる豊かな社会になって欲しいと思います。

「小さないのちのドア」は利用者が多いほど出費がかさみます。
その一方で、ドアが開いた数だけの命が救われます。

私たちテイエム技建は、「小さないのちのドア」が2018年9月1日から活動を始めると知り、初月からその活動を支援することを決めました。

小さな命のドアが設置されているマナ助産院ですが、院長である永原先生の自宅でもあります。先生は、私財を投入して隣接地を購入されました。この土地は、ドアを訪れた女性が住むためのシェアハウスを建築するためのものです。
現在は活動資金を確保するだけで精一杯であるため、今すぐ建設するということは出来ずにいますが、永原院長であれば近い将来必ず計画を実現されると思います。

この活動に関心を持つ持たないなど、賛否いろいろな考え方があって当然だと思います。
かくいう私も、「安易な行為により、妊娠した結果だろ。責任とれないなら最初からするなよ」と考えるタイプです。ですが、事情は本当に様々であり、全部が全部、母親を責めることができるものではありません。
そして何より、どんなかたちであれ誕生した尊い命が守られるという事実と、永原院長がおっしゃった「ひとりの命でもいいから救いたい」という言葉に、私は心を動かされました。単純な人間である私はすぐ個人的に正会員になりました(笑) 自宅に突然、助産院からの封書が届いたことにより、妻は「えっ?」となったかも知れませんが…(^_^.)

確かなことは、この活動によって、小さな命を守るのは当然のことながら、母親の命と人生をも守ることができるということです。

世の中には、営利目的ではなく、人の命を救いたいという一心で活動されている方が本当にいらっしゃるんだなぁと実感させられました。

そういう活動に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度「小さないのちのドア」のホームページを覗いてみてください。

実際に資金援助しなくても、心の中で賛同し、応援するだけでも構わないと思います。
大切なのは、そういう気持ちをひとりでも多くの方が持つことができるようになることなんじゃないかなぁと私は思います。

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